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インボイス制度(7) その他

Q1.毎月銀行口座に振込になる家賃についても、毎月賃借人にインボイスを交付しなければならないですか?

A1.口座振替や振込により決済される家賃や税理士の顧問料等については、登録番号などの必要事項が記載された契約書とともに日付と金額が印字された通帳を保存することにより、仕入税額控除の要件を満たすことになります。

Q2.個人事業者が家事共用資産を売却する場合に交付するインボイスはどのように作成したらよいですか?

A2.個人事業者が家事共用資産を譲渡する場合には、事業用部分を合理的に区分した上で、事業用部分の取引金額をもとにインボイスに記載すべき金額等を計算することとなります。

〈計算例〉

事業共用割合90%の中古車両を20万円で売却する場合には、適格請求書(インボイス)に記載すべき金額は次のように計算します。

200,000円 × 90% = 180,000円

180,000円 × 10/110 ≒ 16,363円

なお、古物商(中古車買取業者など)が適格請求書発行事業者でない他の者から買い受けた販売用の古物(中古自動車)については、帳簿の保存のみにより、仕入税額控除を認めることとしています。

 

 

インボイス制度(6) インボイスの保存を要しない取引

課税事業者は消費税の計算にあたって、課税売上げから控除する課税仕入れについてはインボイスを保存する必要があります。

 

ただし、次に掲げる課税仕入れについては、所定の事項が記載された帳簿のみの保存により仕入税額控除が認められます。つまり、インボイスの保存は不要というわけです。

 

インボイスの保存を要しない取引には以下のようなものがあります。

1.公共交通機関特例が適用される3万円未満の旅客の輸送

2.自動販売機特例が適用される3万円未満の自動販売機・自動サービス機からの商品の購入等

3.郵便特例が適用される郵便サービス

※郵便特例 ・・・ 郵便切手を対価とする郵便サービスで郵便ポストに差し出されたもの

4.適格簡易請求書の記載事項(取引年月日以外)を満たす入場券等が使用の際に回収される取引

5.古物営業を営む者が、インボイス発行事業者でない者から、古物を棚卸資産として購入する取引

6.質屋を営む者が、インボイス発行事業者でない者から、質物を棚卸資産として取得する取引

7.宅地建物取引業を営む者が、インボイス発行事業者でない者から、建物を棚卸資産として購入する取引

8.インボイス発行事業者でない者から、再生資源及び再生部品を棚卸資産として購入する取引

9.従業員等に支給する通常必要と認められる出張旅費等(出張旅費、宿泊費、日当及び通勤手当)

インボイス制度(5) インボイスの記載事項

インボイスとは消費税を払ったことを証明する書類です。

インボイスは具体的には一定の事項が記載された請求書や納品書、領収書、レシート等です。

このインボイスに記載すべき一定の事項とは以下になります。

 

①インボイスを発行した事業者の氏名または名称および登録番号

②取引年月日

③取引内容(軽減税率の対象品目である場合はその旨)

④税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜きまたは税込み)および適用税率

税率ごとに区分した消費税額等

⑥インボイスの交付を受ける事業者の氏名または名称

 

太字のものが今までの請求書に追加して記載が必要な事項となります。

 

不特定多数の者に販売等を行う小売業、飲食店業、タクシー業等は、簡易なインボイス(適格簡易請求書)を発行できます。

これには上記⑥の「交付を受ける事業者の氏名または名称」を記載しなくてもよいとされています。

インボイス制度(4) インボイス発行事業者の登録申請

令和5年(2023年)10月1日からインボイス制度が始まります。

課税事業者がインボイスを発行するには「適格請求書(インボイス)発行事業者の登録申請」が必要です。

登録申請は令和3年(2021年)10月1日から始まっています。

インボイス制度開始時(令和5年(2023年)10月1日)からインボイスを発行するには、令和5年(2023年)3月31日までに登録申請をしなければなりません。

登録申請は「適格請求書発行事業者の登録申請書」を提出することにより行います。

e-Taxによる方法と郵送による方法があります。

e-Taxによる方法の場合、申請する際に「登録通知書の電子通知」に同意すると、税務署での処理後速やかに登録通知がメッセージボックスに格納されます。

郵送により申請を行う場合の送付先は、各国税局のインボイス登録センターになります。税務署長は登録をした場合には書面によりその旨を通知します。

 

上記のとおり、インボイス開始時(令和5年10月1日)からインボイスを発行するには、令和5年3月31日までに登録申請をしなければなりませんが、

登録申請書を提出できなかったことについて「困難な事情」がある場合において、令和5年9月30日までの間に登録申請書にその困難な事情を記載して提出し、税務署長によりインボイス発行事業者の登録を受けたときは、令和5年10月1日に登録を受けたこととみなされます。

「困難な事情」については、その困難な度合いは問いません

ただし、登録拒否要件に該当する場合を除きます。

登録拒否要件とは、消費税法の規定に違反して罰金以上の刑に処せられ、その執行が終わり、又は執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者です。

 

 

 

 

 

インボイス制度(3) 免税事業者からの仕入れに関する経過措置

令和5年(2023年)10月1日からのインボイス制度開始後は、

免税事業者に支払った仕入れ(外注費、経費)の金額は消費税の計算上、仕入税額控除できません。

ただし、経過措置があります。

 

令和5年(2023年)10月1日から令和8年(2026年)9月30日まで  →  80%控除できる

令和8年(2026年)10月1日から令和11年(2029年)9月30日まで →  50%控除できる

令和11年(2029年)10月1日以降  →  控除できない

 

 

例えば、免税事業者から550万円仕入れた場合

 

インボイス制度導入前(令和5年9月30日まで)

売上から控除出来る金額  550万円(100%)

令和5年10月1日~令和8年9月30日

売上から控除出来る金額  440万円(80%)

令和8年10月1日~令和11年9月30日

売上から控除出来る金額  275万円(50%)

令和11年10月1日~

売上から控除出来る金額    0円

 

 

取引先に免税事業者がある場合には、今後の取引条件などについて免税事業者と協議が必要になると思います。

会計ソフトの入力も免税事業者からの仕入れについては、課税事業者からの仕入れと区別して入力することが必要になりますので注意が必要です。

 

インボイス制度(2) 免税事業者にかかわる問題

インボイス制度とは、消費税を払ったことを証明するためにはインボイスがなければならないという制度です。

そして、インボイスを発行出来るのは課税事業者だけです。

免税事業者はインボイスを発行できません。

 

このことから、問題が2つ生じます。

 

(1)免税事業者と取引をする課税事業者に生じる問題

免税事業者と取引をする課税事業者、具体的には

免税事業者から商品を仕入れる

免税事業者に外注費を支払う

事務所や工場の家賃の支払先が免税事業者である

場合などです。

このような場合、課税事業者は免税事業者へ商品代金や外注費、家賃を支払ってもインボイスを受け取ることが出来ないため、消費税の計算上、売上から支払った商品代や外注費、家賃を控除することが出来ず、納付する消費税が増えてしまいます。

 

そこで課税事業者がとる手段として次の3つが考えられます。

①免税事業者に値引きを要請する

②免税事業者に課税事業者になるように要請する

③課税事業者である他の取引先に変える

 

(2)免税事業者に生じる問題

こちらは(1)の裏返しになりますが、例えば

免税事業者である一人親方が課税事業者である元請けの仕事を請ける

免税事業者である商品の卸売業者が課税事業者である得意先へ商品を卸す

免税事業者である不動産賃貸業者が課税事業者に事務所や工業を貸す

場合などです。

これらの場合には、相手はインボイスを受け取ることが出来ず消費税が増えてしまうため、上記(1)のいずれか手段を取ると考えられます。

 

そこで免税事業者が取る行動として次の3つが考えられます。

①元請けや得意先、不動産の賃借人からの値引要請に応じる

②課税事業者になり、インボイスを発行する

③値引要請に応じず、課税事業者にもならない

 

免税事業者が他に代替することの出来ない商品や技術、サービスを持っている場合には上記③のように強気に出ても相手は取引を継続するかもしれません。

そうでない場合には上記①か②の対応を取ることになるケースが多いと思われます。

 

ただし、下請法や独占禁止法により元請が優越的な地位を利用して下請けに対して一方的に値引きをさせることは禁止されています。

値引要請の場合も課税事業者になることを要請する場合も事前に協議をして下請けが納得することが必要とされています。

 

インボイス制度(1) インボイス制度とは

令和5年(2023年)10月1日よりインボイス制度が導入されます。

インボイス制度とは、消費税を払ったことを証明するためにはインボイスがなければならないという制度です。

インボイスとは消費税を払ったことを証明する書類であり、ざっくり言えば今までの請求書に登録番号を記載したものです。

事業者(法人、個人事業者)が国へ納付する消費税は次のように計算します。

 

受け取った消費税  ー 支払った消費税

 

インボイス制度導入後はインボイスがなければ消費税を支払ったとみなされないことになります。

 

例えば、売上1100万(うち受け取った消費税100万)、仕入550万(うち支払った消費税50万)とします。

この場合、インボイス制度導入前の納める消費税は、

 

100万 ー 50万 = 50万

 

となります。

インボイス制度導入後で、仕入550万についてインボイスを受け取っていない場合に納める消費税は、

 

100万 ー   0 = 100万

 

となります。

 

そのため、仕入先からインボイスをきちんと受け取らないと多く消費税を納めなければならなくなります。

 

ただし、インボイスを発行出来るのは消費税の課税事業者だけです。免税事業者はインボイスを発行できません。

 

このことにより、免税事業者と取引をする場合には様々な問題が発生します。

 

このことについては次回にお話します。